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ブギーナイツのhoshのレビュー・感想・評価

ブギーナイツ(1997年製作の映画)
4.2
70年代から80年代にかけてのポルノ業界を舞台にした群像劇。ノリの良い選曲、セックス、暴力、ドラッグ、栄枯盛衰のストーリー、と自分が思う「これぞアメリカ映画」な型を持っており、これまで鑑賞したPTA監督作品の中で1番見やすくて楽しかった。

型があるとは言いつつも、非常に独特な角度から切り取られる愛おしくてたまらなくなる人物造形や、80's以降の「自分の犯した過去の過ち」がジリジリと迫ってくる圧迫感は後の『マグノリア』でも見られたので、この監督独自のものかなと。ただし、今作はまだ取り返しがつく話ではあるので、『マグノリア』よりは全然ポップ。

登場人物全員、今を必死に生き抜いたりやり過ごそうとした結果、それが空回りしてしまう。でそれが巡り巡って自分の首を絞めることになるという。このなんとも言えない、ままならなさとやり切れなさが味わい深いのよね。スコティの告白やアンバーの弁護士との面談後のくだりなど、思わず零れてしまう涙にはつい肩入れしてしまった。

冒頭のアッと驚く長回しから引き込まれるし、誰を映して誰を映さないかの取捨選択も見事。(留置場での面会シーンの顔の切り取り方!)序盤、中盤、終盤と3度出てくる鏡の前での決めポーズの変化にはグッとくる。終わり方の切れ味たるや最高で思わずガッツポーズが出たし。

なんかもう「映画が上手い」としか言いようがないので、これを27歳で撮ったPTA監督は間違いなく映画に選ばれた人だと思う。やばすぎる。
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