デッカード

ブギーナイツのデッカードのレビュー・感想・評価

ブギーナイツ(1997年製作の映画)
3.5
70~80年代のポルノ映画界を舞台に変遷する時代を生きる人々を描いた群像劇。

ポルノ映画のスターにのし上がる青年を軸に、たくさんの人々の流転の人生が語られるがそれぞれ味わい深い。

映画館からビデオへと映画の鑑賞方法が変わった時代にあって、その変化を最も大きく受けたのはやはりポルノ業界だったと思う。ポルノ映画からAVへと人々のコンテンツとの触れ合い方が大きく変わったこの時代。

うぬぼれや後悔の感情に翻弄される青年エディの成功と転落は、下世話に描かれているようだがラストまで人の持つ天賦の才とは何なのかを深く考えさせられる。

まだそれほど有名ではなかったドン・チードルとフィリップ・シーモア・ホフマンが脇ながら強い印象を残す存在感はさすが。

ポルノ映画関係者ゆえの壁にぶつかってしまう人々の姿も感傷的になり過ぎず静かに描いていて好感が持てた。

ポルノ映画界を描きながらも映画界全てに対する懐かしさとリスペクトが感じられる良作。

時代の変化に流されても最後まで創作者としてブレない初老ながらたくましいバート・レイノルズの姿を久しぶりに見られたのがうれしい。

私にとっては大好きか大嫌いにしかならないポール・トーマス・アンダーソン作品ですが、この映画は大好きになれた良作でした。
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