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ときめきに死すのriverのレビュー・感想・評価

ときめきに死す(1984年製作の映画)
3.5
どこか避暑地の別荘に、男2人・女1人が集い、奇妙な共同生活が始まる。日常から隔離されたような世界で、他者との繋がりを探るように3人は寄り添っていくが…。

現在の視点から観ると、宗教二世問題を意識してしまう。明確に示されてはいないが、おそらく工藤は宗教二世で、何らかの恨み(または義侠心?)で宗教団体のトップの暗殺を企てている。現在は報道等の影響で、工藤に共感を抱く人も多いだろう。権利の関係で、今後の上映・配信が難しくなるというのは残念。

工藤の世話役である大倉も魅力的なキャラクターだ。自称・歌舞伎町の医者ということだが、おそらく免許はあるのだろうが、裏稼業に関わってきたような凄みがあり、堅気の医者には見えない。工藤といないときは、とんでもなく下品になったり、変なところで義理を通そうとしたりする。工藤がナンパした女性2人が別荘に押しかけてくるシークエンスは、キアヌ・リーヴスの「ノック・ノック」が始まるようで、面白さと少しの禍々しさがあり最高だった。

工藤が度々口にする「涼しいですか」というセリフは現実ではない世界のことだろうし、同居人には理解はできなかっただろうけど、ほんの束の間、3人で過ごした時間は、涼しさのある世界ではなかったのかと思う。
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