イチロヲ

獣人島のイチロヲのレビュー・感想・評価

獣人島(1932年製作の映画)
4.0
難破船から奇跡的に生存した青年が、謎のDNA研究所が整備されている孤島へとやって来る。H・G・ウェルズの怪奇小説「モロー博士の島」を映像化している、サスペンス・ホラー。

獣を人間に変える実験をおこなう、「マッド・サイエンティストもの」の原典。モロー博士は獣人たちに対して掟を教示することにより、人間らしい道徳心を植え付けようとするのだが、自身のマッド気質の暴走にともない、人間の業が表出してしまう。

ヒロイン枠では、人間の男とつがいにするための実験に利用されている、メス獣人(キャスリーン・バーク)が登場。博士の使用人である犬男を、日系人の駒井哲(テツ・コマイ)が演じているところも必見。

モロー博士に反旗を翻して暴動を起こすシーンでは、獣人役のベラ・ルゴシが大ハッスル。半人半獣の悲哀と憤怒が伝わってくるが、「科学の可能性」を探究するモロー博士にも同調の余地がある。そこが「マッド・サイエンティストもの」の大きな魅力。
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