櫻イミト

告白の櫻イミトのレビュー・感想・評価

告白(1969年製作の映画)
3.5
コスタ=ガヴラス監督の「Z」(1969)から続く反権力実話映画3部作の2本目。1951年チェコスロバキア、スターリンによる”血の粛清”により理不尽な逮捕と22ヶ月の拷問を受けた元共産党高官の手記を映画化。イヴ・モンタン、シモーヌ・シニョレ夫婦(当時)が夫婦役で共演。

映画の大半が虚偽自白をさせるための罵倒と拷問(食事と睡眠を与えない)シーンで、とことんスターリン独裁政治の恐怖を身に沁みさせられた。拷問の間に度々スターリンを美化した映像がインサートされ制作者たちの怒りが伝わってくる。

反権力3部作の「Z」「戒厳令」に比べると、同じ共産主義者内の闘争にまつわる話なので善悪の拠り所が複雑で、その分リアルさを感じると同時にエンターテイメント性は少なめだったと思う。歴史に興味があったり問題意識がある人でないと見て苦痛に感じるかも知れない。

※映画制作のきっかけは前年(1968)に起きたチェコ動乱(プラハの春)であり、映画の中にも当時の写真が盛り込まれている。
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