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告白のbennoのレビュー・感想・評価

告白(1969年製作の映画)
3.8
コスタ=ガヴラス監督『Z』に続く「政治3部作」の2作目…。

1951年…チェコスロバキアの首都プラハ…。ジェラール(イヴ・モンタン)は第2次世界大戦中、フランスでレジスタンス活動…共産党の高官として国家に仕え、本名はアルトゥール・ロンドン……彼の手記を映画化したものです…。

彼の周りで不穏な動きが…怪しい車に尾行されたり、重要な会議にも呼ばれなくなり…ある日突然、数名の男たちに襲われ、目隠しをされて拉致…。

全ては共産党内部の権力闘争による急進的スターリン主義者が行ったこと…秘密警察による不当逮捕、大粛清の一環です…。

そしてこの日から始まる22ヶ月間の壮絶な拷問…。

逮捕の理由は…西側のスパイ行為…トロキスト・グループのリーダーとして行動したという罪…全てはでっち上げ…嘘の供述(告白)を植え付けるのです…『DAU』を想起します…。

トイレも無い独房…
« Marches! »(歩け!)という命令で独房の中を歩き続けなければなりません…。

« Manges! »(食べろ!)の合図で食事にありつけますが…一口食べると取り上げられます…。

« Vous pouvez dormir maintenant. »
(眠っていいぞ)と優しく声を掛けられますが…横向きで寝ることは許されず、常に仰向け…就寝中にいきなり…« Debout! » (直立! )と立たされたり、ドアを激しく叩かれて起こされたり、水を浴びせられたり…悉く睡眠を妨害されます…。

少しでも反抗的になれば、目隠しのゴーグル(ジャケ写)をさせられ拷問室へ…とても地味ですが手を上げ屈伸を繰り返し、少しでも休むと水攻め…。

そして、時折お酒やタバコを与えてくれます…。

飴と鞭…ひたすら執拗に繰り返されます。


今作では妻リーズ役に実際の妻でもあるシモーヌ・シニョレ…また、物語の後半ではガリガリにやつれ、痩せ細ったイヴ・モンタンの役者魂の演技も見どころです…。

また、スターリンの写真や映像が時折カットイン…彼の狡猾さや非人間性も浮き彫りに…。

そして裁判の行方は…??

若者たちが書くグラフィティ…
『 レーニンよ、目を覚ませ…
やつらは気が狂った…』

人間の尊厳を踏み躙る者への怒りが表れた作品です
…。


✎︎ YouTube (仏語音声、英語字幕)ですෆ*
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