極楽蝶

大番の極楽蝶のレビュー・感想・評価

大番(1957年製作の映画)
4.0
貧しい田舎の青年が東京で株取引の才覚と運でのし上がっていく痛快作。出演者もなかなか豪華。
一番の見どころは、主役の丑之助(加藤大介)と待合の仲居おまき(淡島千景)の何とも切ない恋仲の互いの心情かなぁ。帝釈天にお参りに行った後の料理屋で、おまきが丑之助に女房にして欲しいと打ち明ける場面や、株で一文無しになった丑之助が一旦田舎に帰る前に何にもなくなった部屋で二人の時間を過ごす場面は良いですねぇ。そして、田舎に帰る丑之助を東京駅で見送るおまきを観ると、この続きを早くみたいと感じる。
ところで、物語の舞台は戦前の昭和初期の日本(東京と愛媛の宇和島)。待合や証券取引場の場立ち、若衆宿や夜這い、芋中心の主食など、当時の風俗が描かれているのも興味深い。
極楽蝶

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