佐藤克巳

顔役暁に死すの佐藤克巳のレビュー・感想・評価

顔役暁に死す(1961年製作の映画)
5.0
前作「暗黒街の弾痕」は佐藤允と対等の主演でスポーツ感覚に溢れたアクション映画の頂点に立った新鋭加山雄三が、本作では単独で遊園地で戯れる子供の様に無邪気で溌剌としたヒーローを演じた。平田昭彦率いる組の用心棒中谷一郎がユーモラスな味わいのある助演を演じれば、対抗する暴力組織の田中邦衛の代貸中丸忠雄が残忍非道振りで競う。更に結核の記者ミッキー・カーチスが神出鬼没の活躍は前作以上で、ヒロイン水野久美と加山の父の後妻島崎雪子が妖艶な魅力で競った。大藪春彦原作を再び演出した岡本喜八監督はハードボイルドの要素より遊戯性を重視したスリルサスペンス映画の傑作に仕上げた。また、田中、井川比佐志、砂塚秀夫が存在感ある好演で、この後台頭するキッカケになった気がする。
佐藤克巳

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