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カンフー・マスター!のakrutmのレビュー・感想・評価

カンフー・マスター!(1987年製作の映画)
3.6
二人の娘がいるアラフォー女性と娘の友達である少年の恋愛を描いた、アニエス・ヴァルダ監督の恋愛ドラマ映画。ちなみに、このタイトルは少年が熱中するアーケードゲームにちなんだものであって、カンフーアクションが描かれるわけではない。(フランスでもこんなにゲーセンが盛んだったのには軽く驚いた。)

主役のマリーを演じるジェーン・バーキンの二人の娘と両親がそのままの役(シャルロット・ゲンスブールの役名はルーシー)で出演していて、そこにルーシーの友人でマリーが恋する少年ジュリアンをアニエス・ヴァルダ(とジャック・ドゥミ)の息子マチュー・ドゥミが演じるという内輪で撮影した作品であるが、それもそのはずで、アニエス・ヴァルダがジェーン・バーキンのドキュドラマ映画『アニエスv.によるジェーンb.』を撮影中に、ジェーン・バーキンが構想して脚本を書き、夏休みの間に撮影してしまったという作品なのである。『アニエスによるヴァルダ』の中で、アニエス・ヴァルダは二人の家族での撮影は楽しかったと述懐しているが、シャルロット・ゲンスブールは両作品の撮影で1年中スタッフが自宅にいたので嫌だったと述べている。

中年男性と少女の恋愛物語はまあよくあるので、逆のストーリーがあっても不思議ではないが、ジェーン・バーキンのそれほど上手とは言えない演技や二人のキスシーンを見ていると、どこか気恥ずかしいような、演技を演技しているような感じがした。まあでも、ジェーン・バーキンだからどうにか成立したのかもしれない。『なまいきシャルロット』から3年しか経っていないシャルロット・ゲンスブールは、まだまだ初々しさが残っていて可愛かったし、3歳くらいのルー・ドワイヨン(これが映画初出演!)がもっと可愛いかった。

映画の内容には関係ないが、AIDSの話がよく出てきたのには、確かに当時は大きな関心事だったなあと思い出した。HIVはフランスのパスツール研究所が最初に発見したことだし。
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