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カンフー・マスター!のtakのレビュー・感想・評価

カンフー・マスター!(1987年製作の映画)
3.3
 ジェーン・バーキンのアイディアから生まれたという、不思議な雰囲気の恋愛映画。娘の友人である15才の少年にジェーンは恋してしまう。彼はテレビゲーム「カンフー・マスター」に夢中な男の子。ジェーンは彼に会いたい一心で学校へ行ったり、見舞いに行ったり、お気に入りのゲーム機があるところを探したり。40代の女性がするとは思えない行動に、恋する気持ちの狂おしさが感じられる。

 ロマンティックな島の場面を経て、厳しい現実で引き裂かれる二人。この辺がドロドロせずにその後の二人に焦点を合わせているのが好感。ラストに男の子はひと夏の恋を友人に話すけれど、果たして友人は信じたのやら?。聞きようによっては、ゲームの武勇伝のように恋を語っているようにも聞こえる。この経験で彼が成長することを思ってやまない。一方でジェーンは大事なものをいろいろと失ってしまう。恋愛を通じて男も女も成長していくものでもあるけど、大人を子供に帰すものでもある。いずれにしても”恋に恋してる”すべての大人に見て欲しい。そんな映画。

 ジェーンのファンには、実の娘シャルロット・ゲンスブールとルー・ドワイヨンが出てくるだけでも、実生活の雰囲気が垣間見える気がして面白い。ちなみにマチュー・ドミはヴァルダ監督とジャック・ドミ監督の子供、ジェーンのロンドンの両親は実の両親なのだとか。この頃のシャルロット、ほんとかわいいよね。彼女がボリス・ヴィアン(セルジュ・ゲンスブールを見いだした人物のひとり)の「日々の泡」を読んだという台詞が出てくるけど、ここなんかセルジュのファンがニヤッとするところだ。
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