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八日目の蝉のNOBUのレビュー・感想・評価

八日目の蝉(2011年製作の映画)
3.8
人間の持つ本質を見事なまでに描き抜かれた作品。
育ての母、実際の母、そして父の三者の立ち位置はそれぞれ複雑な心境を以って語っており、その人間関係の核となるのが、恵理奈であり薫であるが、過去と現在をクロスさせて終盤にストーリーが合致していく構成は素晴らしく、奥寺佐渡子の脚本が群を抜いて素晴らしい。

個人的に井上真央扮する恵里奈が終盤で千草に積りに積もった様に吐き出す言葉は観客にはすでに十分に伝わっているので、全ての想いを吐き出す必要もなかった様にも思う。
しかし、この映画での最大の一言は希和子の言葉「その子はまだご飯を食べていません!」である。永作博美の演技があまりにも素晴らしく、2時間半ほどある映画の全てをこの一言で出し切っている。映画のテーマを一言で表し尽くした台詞もなかなか存在しない。

余談だが、この作品で出てくる男性が皆、私利私欲で自分勝手すぎる。世の中の人間社会を巧く表した作品であるのは言うまでもない。
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