土萠めざめ

八日目の蝉の土萠めざめのネタバレレビュー・内容・結末

八日目の蝉(2011年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

ストーリーが面白いというか、あまりにも切ない設定で終始悲しい気持ちで観ていた。自分を愛してくれた母親、大好きな母親が誘拐犯だったなんて。本当の母親の立場に立っても辛いが、本当の母親になじめないかおるちゃんの気持ちもわかる。何の因果か、かおるちゃんも不倫して妻子ある人の子を身ごもってしまい、そのことで実母と言い合いになるシーンは見ていて辛かった。
多分原作がよいのだと思うが、最初から最後まで画面から目が離せず、映画としても素晴らしい作品だと思った。現在の時間の流れと、過去の時間の流れとが交錯するシナリオで、かおるちゃんと一緒に辛い記憶をたどっているようだった。
お腹の中の子どもにきれいなものを沢山見せてやらなければならない、という台詞が印象的だった。また、捕まったときに、その子はまだ夕飯を食べていません、どうかよろしくお願いしますと頭を下げた場面は母親としての愛を感じられて号泣した。
井上真央の陰りのある表情も、永作博美の穏やかな声も、子役の無邪気だけど怯えたような雰囲気も最高によかったです。