絶望の淵で、膿の香り
【デヴィッドリンチの著名作】
⬛️そこにデヴィッドリンチの悪夢が繋がっている。
監督の処女作にしてカルト映画界隈の重鎮を構える著名作品です。内容は、奇形児を授かった父親の悪夢を綿々と映して行く難解なものです。鑑賞者の常識を打ち破る手厳しさは、否がおうでも我々の脳内に刻み込まれます。
⬜️今作は監督の私小説であるという話が通説だそうです。
学生の折に一児の父になってしまったという過去が彼にはあります。たしかに今作の中での赤ん坊を取り囲むビジョンは、当時の彼の心境が結実しているような印象を受けました。
そして極めて悪い住環境で生活していた彼の経験も今作の中で芽吹いていました。もとよりリンチという人は完成された美を拒む節のある人ですから、悪環境の渦中が元来のセンスと奇跡的にスパークを起こしていたのかもしれません。
【ジャージャーにしか見えないまとめ】
👶その完成された美への嫌悪は私の感性とも通ずるところもあるため、勝手ながらシンパシーを感じさせてもらってます。「オーストリアが美しすぎてすぐに帰国した」というエピソードなんかはシンパシー感じすぎて愛らしさすら覚えました。
しかしながらどうにも合わない。私的な要素が詰まりすぎてるところが気に食わないのかも。
✏️彼の悪夢が詰まった一作でありました。あの強烈なビジョンを観ては、今宵の夢が心配になってしまいます。
頭千切れてもえんぴつにされないことを信じて……ではおやすみなさい