カレス

ダンス・ウィズ・ウルブズのカレスのレビュー・感想・評価

ダンス・ウィズ・ウルブズ(1990年製作の映画)
5.0
IMDb 8.0
ドラマ・西部劇
字幕版

映画ってCGで凝った非現実を映すより、美しい自然を舞台に物語を見せるのが本道なんじゃないかな。

南北戦争のさなか、北軍の中尉ジョン・ダンバーは西部の砦に着任した。砦といっても広大な荒野にちっぽけな無人の小屋があるだけだった。御者が馬車で運んできたため、物資(食料、武器など)はふんだんにあった。御者は部隊駐屯地に戻る途中で、ポーニー族の戦士に襲われて命を落とした。中尉は一人で何週間も後続部隊を待った。1匹の狼だけが時折やってきたので、トゥー・ソックスと名前を付けてやった。スー族の戦士が中尉の大切な乗馬(シスコ)を盗みに来たが、中尉はうまく追い払った。孤独な中尉は、スー族との接触を試みようと決めた…

登場人物
ジョン・ダンバー・・・北軍の中尉
蹴る鳥・・・・・・・・スー族のホーリーマン
風になびく髪・・・・・スー族の戦士
拳を握って立つ女・・・自らを傷つけた女
10頭の熊・・・・・・スー族の酋長
その他のスー族の人々
ポーリー族の戦士たち
トゥー・ソックス
シスコ

アメリカ西部の広大な荒野が美しい映画だった。
もともとスー族は、この広大な土地で馬を放牧し、鶏を飼い、バッファローを狩って日々を営んでいた。平和で穏やかな暮らしだったんだと思う(インディアンの部族間では馬の奪い合いもあったが、それは健全な戦士のスポーツだとどこかで読んだ)。そういう穏やかだったインディアンの文化にあこがれを感じ、彼らが迫害されてきた歴史を思った。
スー族のホーリーマンが、表情はないのだがとても魅力的だった。大森南朋に似ているw

以下余談
インディアンには憧れがある。
・幼き頃は「カスター将軍」。
・ヘミングウェイの小説では、インディアンを描いたものも読んだ。「ニック・アダムス(ヘミングウェイがモデル)の父親は医師で、インディアンも診ていた。ニックが子供の頃、妊婦の帝王切開をした。夫のインディアンは、妻の苦痛を見るに堪えなく自刃した」という短編があった。
・野田友佑(エッセイスト、カヌーイスト)の本でもインディアンについて読んだ。野田は若い頃、ナバホ族の居留地に住んでいたことがあった。IRAの暗殺者なんかもいたそうだ。インディアンにはアルコールを分解する酵素がなく、飲みだすと止まらない人がいてぶっ倒れるまで飲み続ける。野田は居留地での体験(ナバホ族の生活を見聞きした体験)がとても辛く、本に書くことができなかったそうだ。
・さっき「大草原の小さな家」シーズン1エピソード0を再視聴した。インディアンが二人突然小さな家にやってくる。パンと煙草を上げるとローラにクマの牙の飾りをくれた。父はローラに政府のインディアン政策を話すが、ローラは不満そうだった。
・Disney+の「バッファードリーム」では、ナバホ族の少年がバッファローの保護活動をしている。ディズニーテレビの映画だそうで、キッズ向けで映像も粗いが、「ダンス・ウィズ・ウルブズ」と通ずるものがある。蹴る鳥(スー族のホーリーマン)を演じたグラハム・グリーンがじいちゃん役で出ている。
・グラハム・グリーンはテイラー・シェリダン監督「ウインド・リバー」にも出ている。主人公コリー・ランバート(ジェレミー・レナー)の娘の友人の父の役だったと思う。←間違い、友人の父はギル・バーミンガム。グラハム・グリーンはインディアン部族警察長でしたスマソ




以下ネタバレ




狼と踊る男のモノローグ
(ポーリー族との戦いに参加して)
どう感じていいのか…
こんな戦いは初めてだ
暗い政治に関係ない戦いだ
領土や富、自由解放にも無関係 
ひと冬を越すための食料を守り、
目の前にいる家族を守る戦いだ
"石の子牛"は戦死した
だが戦いは大勝利だった
私の中に新しい見方が…
今までにない誇りを感じた
"ジョン・ダンバー"とは何者なのか
何の意味もない名前だ
新しい名前を呼ばれてー
本当の自分を見だした気がする
カレス

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