真面目に語ることが憚られるような何ともデタラメな映画である。心霊ディテクティブものから、ヒロインがいきなり歌い出し(音痴!)たかと思えば、エログロ、インチキスパイ、カンフーアクションがごたまぜになり、進行とともにくだらなさが指数関数的に増していく。
脚本の高橋洋が新東宝路線(大蔵貢路線と言い換えていいだろう)を狙ったとのことだが、詰まるところ、ウケる要素を確信犯的に積み上げていったところに出来するグロテスクを映し出した自己言及的な作品と見ればいいのだろうか。
これを面白いと喜ぶのは度量の広さを示すよりも、迎合したある種の敗北を認めるような気がしてためらわれる。くだらないものはくだらないと言っておきたい。「ホラークィーン」と称される三輪ひとみや若かりし阿部寛、大杉連、鈴木一真らと、ピンク映画俳優が入り乱れて狂態を繰り広げるありさまにはゲンナリする。
デタラメではあるが、一応、邪神召喚と世界の終焉という高橋洋の刻印があることは申し添えておく。
※これがもう少し洗練すると白石晃士「ある優しき殺人者の記録」(2014)になるのかな