キャンチョメ

穴のキャンチョメのネタバレレビュー・内容・結末

(1960年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

男たちの繊細で力強い手つきに、目が釘付け。ゆっくりと、しかし着実に、出口へ近づく手応えが伝わってくる。
スリリングだけど落ち着いた空気。でもそれは、最後の、嵐の前の静けさだったわけか。
落とし穴は一番近いところに、最初からいたわけで、それを避けるのは不可避だったように思える。なんとも言えない虚しさ。

ガスパール以外はどんな罪を犯したのか明らかにされないし、皆人間味がある。だから思わず、彼らが犯罪者であることを忘れてしまう。彼ら一人一人を、ただ自由を求める人間として見てしまう。だからこちらも、最後に落とし穴に落とされたような気分になる。
そこで自分は、脱獄のカタルシスだけではなく、彼らの友情の確かさを、より求めていたのだと自覚する。

ロランの「哀れだな」というセリフ。ロランたちより随分早く出所できるだろうが、喪失感漂うガスパールに突き刺さるような一言だ。
キャンチョメ

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