するとら

穴のするとらのレビュー・感想・評価

(1960年製作の映画)
4.3
作家ジョゼジョヴァンニの処女作である原作を元に製作され、ジャックベッケル監督の遺作となった本作

極めてシンプルな脱獄映画ですが穴を掘る長回しのシーンを多様し外までのプロセスを余す事なく描く事で脱獄の追体験をさせてくれます
狭苦しい監獄から出て外の世界を覗くシーンには長回しの穴掘りシーンあってこその爽快感 BGMを使用せず壁を砕く音が響き渡ることで緊迫感が掻き立てられ、その余りの音響に思わずボリュームを下げてしまうほど…笑
そんな脱獄の描写はもちろんのこと 囚人5人の絆と裏切りの描かれ方も面白く、どう転がるか分からない展開にはワクワクし、ラストによって秀逸な伏線が張られていたことに気付きます
脱獄を通し絆を深めていく5人とそこに出来た外へ繋がる穴と裏切りによって生じた計画の穴
真面目で順応性のある奴ほど騙されやすいし信用してはいけないと分かる…悪いやつではないんだろうけど…
ラストの台詞「哀れだな」ここに全てが集約されてます
仲間を思い計画に関わり身内を思い計画を実行しなかったジョーとの対比がより一層、奴の哀れさを引き立ててますね
脱獄を通して見えた仁義と友情の物語

なんで今まで見てこなかったんだ…間違いなく最高傑作の脱獄映画です
するとら

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