ダイナ

穴のダイナのレビュー・感想・評価

(1960年製作の映画)
4.4
実際の脱獄事件を描いたサスペンスドラマ。淡々としたシステマチックな監視体制に挑む脱獄プロセスがエンタメ多分で面白いです。

見張りや持ち込み検査の厳重な描写、囚人同士のネットワークなどなど、刑務所内の描写が多様に描かれているのは実話に基づいているからなのか。モノクロ映画は表情の陰影が際立っていて良きものがあるなという学び。本作は役者の表情が魅力!またコーヒーやビスケットパンジャムが味気なく見えるのもモノクロ映像ならではですが、グルメ漫画みたいに大袈裟にうまそうに食うでもない、なのに美味そうに見えるのは演技がそう見せてくれてるのか不思議。

本作の魅力はなんといっても脱獄企む5人組の計画遂行描写。「限られたリソースを用いて目的を達成するには」という全人類が実生活で頭を悩ますテーマについて、刑務所内の男達はそれを実践してくれるわけです。どうやって部屋抜け出す?監視の目は?ルートは?微細ながら多数のアイデアで紡ぐその計画がエンタメしてて面白い!即席ツールに関心し、地道で過酷な長時間作業に溜息を尽かされ見入ります。またとある場面でピンチをクッソフィジカルで切り抜ける場面があって爆笑してしまった。この映画は愛せる(確信)。主人公達が善性なのか否かははっきりとしないけども、抑圧された環境下の人間が足掻く様は見ていて胸沸るものがあります。

あと蜘蛛に餌やる警官の暗喩具合が好き。最後まで鑑賞し「穴」とは何かを考えてみましょう。このタイトル凄い好き。
ダイナ

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