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パリでかくれんぼのzhenli13のレビュー・感想・評価

パリでかくれんぼ(1995年製作の映画)
4.4
予想外にミュージカル映画だった。全編通して動的な面白さに満ちている。超絶可憐なマリアンヌ・ドニクールが西陽に照らされたワンピースに長い脚の影を作りながら踊るショットで涙が出た。アンナ・カリーナ(!)が歌いエンゾ・エンゾ(懐かしい)が歌う。エンゾ・エンゾの歌に合わせ踊るナタリー・リシャールとどこかコミカルなマリアンヌ・ドニクールのダンスは『暗殺の森』のドミニク・サンダとステファニア・サンドレッリのダンスに比肩し得る(かな?)。

本作の前に観た『彼女たちの舞台』に出ていたナタリー・リシャール、ロランス・コートがまた違った性格の役で、これまた三人の衣装も見どころではある。マリアンヌ・ドニクール初登場時のピンクのワンピース姿が可憐すぎて死ぬ。前作でボーイッシュだったロランス・コートはひらっとしたミニスカートかミニワンピースに素足スリッポンで、ナタリー・リシャールは90年代らしいタイトなヘソ出しトップスとワイドなボトムスで踊りバイクやローラースケートを駆る。(蛇足だが割と平気でパンツ見えてるショットを採用してる。ノーブラトップレスが多いロメール作品でも思うがフランスって痴漢とか盗撮とか無さそう)三人の女性が連帯するのかなと思っていたら中盤ごろにやっとナタリー・リシャールとマリアンヌ・ドニクールが出会う。ロランス・コートは結局出会わないが間接的につながっている。別々の物語を描くことで深みが増していたと思う。図書館司書、ローラースケート、バイク、パリの屋上、謎の組織など、謎解き路線リヴェット作品のモチーフが散りばめられている。

『彼女たちの舞台』とうってかわって昼間の白く柔らかい光が瑞々しく印象的。亡くなった叔母の邸宅の雨戸を開けて差し込む光やホテルの窓際の採光など。
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