佐藤克巳

むかしの歌の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

むかしの歌(1939年製作の映画)
5.0
原作・脚本森本薫、石田民三監督の傑作「花ちりぬ」に続く京都・大坂哀惜物語を描いて秀逸過ぎる国宝級の傑作。前作では蛤御門の変によるどんどん焼けで没落する京都が、本作では、東京遷都による京都・大坂の大不況下、大坂舟場回漕店主人進藤英太郎の娘花井蘭子の出世を巡る登場人物各々の人生模様が鮮やかに描き分けられた見事な作品。花井は、日頃から三味線と歌が達者で髪結からも絶賛されていた。許婚で菜種油を商う商家息子藤尾純が店を覗く女を目撃、花井と二人の帰り道に娘山根寿子を救出する。藤尾が娘の実家を訪ねるとあの女伊藤智子がいて、徳川直参の武士高堂国典の妻だった所から、花井と山根は義姉妹と推測し、後日花井を案内する。花井は不機嫌となり山根を藤尾に預けるが、西南戦争が起こり、高堂は武士の死に場所としていざ西郷の元へ、一方進藤は破産する。花井は、髪結の斡旋で芸妓に身を売り、サバサバとして人力車に乗り込みのだった。
佐藤克巳

佐藤克巳