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戦後最大の賭場のmitakosamaのレビュー・感想・評価

戦後最大の賭場(1969年製作の映画)
3.2
東映youtubeより。
タイトルでは賭場と銘打っているが、賭場のシーンは冒頭と終盤でちょっと映るのみで、全然博徒の話じゃない。

一応フィクションとして作っているがモデルになった事柄はあったそう。児玉誉士夫って戦後のフィクサーだった人が関与してるらしい。

大阪のヤクザ団体が団結し組織化が計られようとしている中で、理事になるべき大物が死去。
若手の二代目・本庄(健さん)が理事に任命されるが、快く思わないのが一人。

もうね、冒頭で安倍徹が見切れる時点で、こいつが敵役になるのは一目瞭然だ。
安倍徹演じる岩佐が理事の座を狙う。

そして岩佐の子分で、本庄の兄弟分・五木(鶴田)が板挟みとなり振り回される。
親分の命令は断れないし、兄弟分の出世は妨げられない。鶴田浩二らしからぬ中間管理職の辛みがある役どころだね。ちょっとアウトレイジのタケシみたいだ。

そして大阪万博を控え、組織をより政治結社の色合いを強くしようと目論む上層部。
賭場を開くのがヤクザの習わしだと考える本庄は理事の座を降ろされ殺されちゃう。
五木が親子の縁を切り岩佐へ敵討ちへ…という話だ。

話自体はどおってことないが、やはり鶴田浩二のこのキャラは珍しい。
何より仇を討って、鏡を見た瞬間の何とも言えない表情が素晴らしい。鶴田浩二自体は決して演技の幅が広い訳じゃないが、このラストは中々だったよ。
撃たれ死んだ五木に対し、鏡の上から不自然な血が垂れ流れる。変なんだがコレもまた良いシーンだ。

ラストの良さだけで、かなりポイントが上がるね。
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