《自由のために奏でる》
この映画を見て思い出した。そうだった。音楽はいつだって自由のために演奏して、そして自由のために聞いていたのだ。ポップ音楽の規制の厳しいイラン。そこで自分達の奏でたい音楽を奏でている若者たちを描いた作品。ゲリラ撮影を行ったということもあり、とてもドキュメンタリー的で、映像から伝わる力のある作品だと思う。
イランではこのような映画を描くことすら難しいため、ゲリラ撮影を行った本作の監督も国に帰れないような状態だという。それほどの制約のある中、イランの音楽というのはどのようなものなのか。まったく想像つかなかったが、ブルース、ジャズ、ヘヴィ・メタル、ヒップホップまで多彩なジャンルとクオリティの高い音楽があった。
主人公たちがバンドのメンバーを探すため、テヘランの街を移動していく。出てくるアーティストたちは実際に音楽をやっているアーティストたちだ。彼らは牛小屋や地下室、廃墟のビルの屋上で隠れるようにして音楽を奏でている。彼らの姿や環境、話を映しているので現在のイラン音楽のドキュメンタリーのような印象を受けた。
サントラがほしくなるほどどのグループの演奏も素晴らしい。多様な音楽を聴いているとその無限にあふれる可能性と自由に音楽を演奏する素晴らしさに気づかされる。とても力のある、イラクの現状を知れる一本だと思う。