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ブラックブックのbeans045のレビュー・感想・評価

ブラックブック(2006年製作の映画)
3.5
戦いは人間の愚かな一面を炙り出す


ナチス政権下のオランダが舞台。戦争映画と思いきや、戦闘シーンは少なく、サスペンス調。ユダヤ人歌手のラヘルはドイツ占領下から逃亡しようとしていたところをドイツ軍兵士に家族や仲間を殺されてしまう。ドイツ軍から逃れたラヘルはエリスと名乗り、ナチスに復讐しようとレジスタンスに協力し、その美貌と歌声でナチスの奥深くに潜り込む。ドイツ軍のムンツェ大尉はエリスがユダヤ人と勘付くがエリスのことを愛してしまう。時は過ぎ、ドイツの無条件降伏により、オランダもイギリスやアメリカを始めとする連合国軍に解放されるが、ナチスに協力した人達をレジスタンスが吊るし上げる光景が待っていた。それは、まるで中国の文化大革命のよう。ドイツ軍にもムンツェ大尉のように善人もいて、逆にレジスタンスにも裏切り者がいたり、ナチス協力者を吊るし上げたり、ドイツ軍で将軍をしていたにも関わらず早くに寝返ってオランダに協力してムンツェ大尉を処刑に追いやったり、牢獄で非人道的なことをする人もいて、勝者が歴史を作るとは、まさにこのことだと思った。主人公のラヘルを演じたカリス・ファン・ハウテンは美しく、信念があるところが気高く見えた。
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