油淋鶏大盛り

ブラックブックの油淋鶏大盛りのレビュー・感想・評価

ブラックブック(2006年製作の映画)
3.0
人間の暗部をこれでもかと見せるヴァーホーベン節に、全体通してペースも早く娯楽作の色合いも少し混ぜたバランス。
単なる悪だけでなく、生きるためなら、どんな人間でも倫理的、社会的に非道な行為ができてしまう弱さ、危うさ。正当な生き方だけでは決して命が守られない不条理、そんな薄っぺらい規範の上で生きていくしかない人間社会の拠り所のなさ。
戦中戦後そしてスエズ危機まで暗喩するなかなかの盛り込み具合で考えさせられます。
そして、この監督のどこでも「地獄あり」みたいな感覚は描かれる時代に依存してなくて普遍的です。