このレビューはネタバレを含みます
バーホーベン作品と知らずに、第二次世界大戦関連映画を色々見てみる中で鑑賞。
大戦中のドイツやイギリス、フランスではなくオランダが舞台の話。というだけで見る価値があると思う。
ナチスと連合国というようなシンプルな二項対立ではなく、敵と味方のグラデーションがダイナミックに入れ替わり続けて、ハラハラも多くずっと面白い。
白眉は、終戦後、主人公のエリスがオランダの自警団(民衆)にドイツへの裏切り者として捉えられ、糞尿爆弾を浴びせられるところで、本作一の文字通り胸糞悪いシーン。
まさか第二次世界大戦関連映画に頻出する胸糞シーンが、ナチスの横暴によるものではなく、非ナチスの民衆によるものとは、人間の醜さ愚かさを突きつけてきて、バーホーベン炸裂だった。
冒頭とラストがエリスが安らかな生活を送るイランのシーンになっているけど、ラストは1956年のスエズ動乱の足音が…
クリスチャンベルケルがナチス側の嫌な役で出てくるけど、「ヒトラー 最期の12日間」でもナチスの要職で出ていて、ドイツ人俳優として色々背負って出ているのだろう。印象的。
カリス・ファン・ハウテン演じるエリスがため息が出るほど美しいのも特筆。