ShinMakita

ブラックブックのShinMakitaのレビュー・感想・評価

ブラックブック(2006年製作の映画)
3.0
☆ベネデッタ公開記念:バーホーベンのお下品映画史・過去レビュー




〈story〉
1944年オランダ。ユダヤ人歌手ラヘル・シュタインはナチの目を逃れ生活していたが、隠れ家が見つかり、逃がし屋ファン・ハインの手を借りる。家族と共にボートに乗り込んだラヘルだったが、運悪くナチの哨戒艇に見つかってしまった。独り海に飛び込み難を逃れ、オランダ人レジスタンス組織に保護されるラヘル。エリス・デフリースという新たな身分を得たラヘルは、レジスタンスの一員として親衛隊本部に潜入し、幹部のムンツェ大尉に接近する。ムンツェとその部下フランケン中尉を標的としたレジスタンスの工作作戦に身を投じる彼女だったが、レジスタンス内部の何者かによる裏切りに遭い、命を狙われることになる……



「ブラックブック」


波乱に満ちたユダヤ系オランダ人女性の半生を描いた戦争ドラマ。

「ELLE」とか「ショーガール」しか知らないと、バーホーベン先生はまともな女性を描けないのではと思われてしまうし、「スターシップトゥルーパーズ」や「ロボコップ」のファンからは、先生は人体破壊のオーソリティだと思われてしまうし、「インビジブル」しか知らないと、ただの変態親父と思われてしまうだろう。


違うんだよ!バーホーベンは、ごく真っ当な映画作家なのである!というのを証明したのがこの「ブラックブック」なのです。もちろん、陰毛染めや糞尿責めなどの「どうかしている」描写はあるものの、展開は王道の冒険ドラマ。そしてテーマも深いんです。〈戦争は終わらない〉というテーマ。物語の本質が終戦後に描かれている点、ヒロインが最後に身を置いた場所を見ても、それは明らかですね。バーホーベン映画としては物足りなくても、これはかなりオススメしたい逸品。チョコレートやペンダントなどの小道具伏線の回収も上手いし、楽しめる一本!
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