アル華

ブラックブックのアル華のレビュー・感想・評価

ブラックブック(2006年製作の映画)
4.9
【戦争が生み出した悪玉菌】
1944年、ナチス・ドイツ占領下のオランダ。ユダヤ人の女性歌手ラヘルは、オランダ南部への逃亡中に、何者かの裏切りによって家族をドイツ兵に殺されてしまう。復讐を胸に誓った彼女は、名前をエリスと変えてレジスタンスに身を投じる。彼女はスパイとしてドイツ将校ムンツェに近づき、彼の愛人になるが……。
引用 : 映画.com https://eiga.com/amp/movie/33896/

最高すぎです!…
バーホーベン版『イングロリア・バスターズ』とでも言うのでしょうか。
3本指で何か頼むシーンがないかとハラハラ
人は選びそうですが、監督の他作品を鑑賞して特色を理解してから本作を鑑賞する事を強くオススメします!(そうでないと、何故こんな演出するの!?となりそう..(^^;;)

〈新起動 / ジェネシス〉
バーホーベン監督は『ロボコップ』『トータル・リコール』『氷の微笑』とハリウッドで成功を収めると、母国オランダで最大の製作費を投じて本作を手掛けます!
演出面でも「あぁこれハリウッドじゃ出来ないだろうな」を全開に感じさせる、バーホーベンらしい露骨に脱ぎっぷりや印象にしか残らない酷い仕打ちシーンが続きます。

〈過激の中のメッセージ性〉
ナチスによるオランダ占領下の時期から、戦争終結までの時期を描く本作。
ナチスからの脅威も、非道で残虐な描写から感じますが、真のテーマは”誰でも怪物になる可能性を生む”にあると思えます。

本作前半だと、怪物の存在はユダヤ人に対してホロコースト(大虐殺)を行うナチスですが、後半になると怪物の存在は、ナチスに過去関与した主人公らを糾弾する正義(ナチスによる被害者)側に描かれる矛先が変化します。
それも銃殺とかではなく、巨大糞尿バケツを頭からいったりと脳裏から離れない演出をわざわざしてきて、、バーホーベン監督が経験した戦争経験がベースにある本作で本当に描きたいものはコレなのかもですね👀

〈結び〉
上述した点以外にも、俳優陣の演技や脚本の秀逸さが際立っています!

ドイツの代表的俳優セバスチャン・コッホ演じるドイツ将校ムンツェの酷い人達の中にいるまともで優しい紳士感が異常で、すき!!

カリス・ファン・ハウテン演じるエリスも、ほんとに悲しい運命にしかいない主人公ながらも、自身に出来るベストを毎回尽くしながらもがいて葛藤する姿がグッときます😭

絶妙な視覚表現や感情表現が印象的で、バーホーベン監督の中でも特に〈生きる為に意味あるヴァイオレンス×エロス〉が活きて描かれてて最高!!
もはや自分は、バーホーベンならもう高得点を付けてしまう人間になってしまいました👏

是非鑑賞してみては如何でしょう✨
アル華

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