ぼっちザうぉっちゃー

三月のライオンのぼっちザうぉっちゃーのレビュー・感想・評価

三月のライオン(1992年製作の映画)
3.6
“氷の季節と花の季節の間に、三月がある”

麗らかな風が吹き込む前の、まだ冷やりとした肌感。どこまでも退廃的な雰囲気が印象的だった。
加えて、ビル群を遠くに見据えた下町のイメージや、廃墟、廃屋、レッキングボールなどが、破滅的な空気感を演出していた。

名刺代わりのポラロイド写真。借り物の服。仮初めの名前。真似事の愛情表現。
窓やクーラーボックス、冷蔵庫など、方形の構図に収められた窮屈と放縦が不思議と官能的で、密着する二ケツがもはや疑似セックスに見える始末。

しっかりとインモラルが行き切って、誕生する結晶。
醜悪さを微塵も感じさせないその姿が、やけに酷だった。