Aix

三月のライオンのAixのレビュー・感想・評価

三月のライオン(1992年製作の映画)
3.7
ベルギー王室の映画祭でルイスブニュエルの黄金時代賞を受賞し、ジャンコクトーの恐るべき子供たち以来の近親相姦の秀作と言われたカルト的人気を誇る作品。記憶喪失の兄と兄の彼女のふりをする妹の恋の話。

90年代特有の終末感と、兄と妹の恋という禁忌の題材が見事にマッチしている作品でした。日本の恋愛映画はゴミみたいなアイドルが甘ったる過ぎる台詞の応酬をして作られることが多いけど、今作はまず台詞が絞られているし、台湾ニューシネマとかにも雰囲気が近く、ロケーション、撮影、照明、劇伴などがかなり良かったです。この映画を当時の若者たちが熱狂的な支持をしたというのもよく分かります、今見てもそこら辺の邦画よりは全然際立っていました。ただ低予算だからか、意外と後半に伸び代がないまま終わった気がします。ロケーションが良かったとは言え、マイプライベートアイダホのようなロードムービーにした方が個人的にはより良い作品になったと思いました。

カルト的人気を誇るのも納得の一本です。不幸にも同名タイトルの漫画、アニメ、実写映画の方が今作よりも有名になっていますが、今作はもっと評価されて良いし、日の目を見るべき作品だと思います。破滅的な日本の恋愛映画が見たい人にはオススメです。
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