ブロオー

バットマン リターンズのブロオーのレビュー・感想・評価

バットマン リターンズ(1992年製作の映画)
3.9
かなりうるさい映画だから苦手かなと思ったけど、良かった。
普通らしく人間でありたいという願いが困難でなかなか生きづらいだろうなと感じた。
事前情報も少し入っていて、仮面舞踏会のシーンは裏の姿が暴かれる逆説的なシーンだが、どっちが表で裏ということはやっぱりないのだろう、一体ということと思った。そして最後のバットマンが仮面を脱ぐシーンはピークになる。
ペンギンの最期の葬儀を思わせるシーンはペンギンたちが物言わぬ故の愛が目に映って素晴らしい。
その他印象に残ったシーンとしてはセリーナがバットマンの家に伺ってどたどたと帰り際で、執事に対して「あの人に詩を送りたいの。作っていただけるかしら」という台詞が素晴らしい。詩を送るなんていわゆる“人文主義”の極限かなと思ったが、それが自分では作れなくて、人間に辿り着けないものの哀しみ、そしてそれゆえにより人を恋うる気持ちが強いのも切ない。
下水道暮らしのペンギンが女子アナみたいな女に性欲を感じるのが最高にそれらしくていい。
クリスマスに夏の作品をいくつか見ていて脳に混乱をきたしていたので、クリスマスには自分にあったクリスマスの作品を観よう、さすがに季節の違う映画を観るのは心に毒だと思いました。