雨丘もびり

バットマン リターンズの雨丘もびりのレビュー・感想・評価

バットマン リターンズ(1992年製作の映画)
3.5
ダンボ公開前に、ダニー・デビートとマイケル・キートンの共演作を再鑑賞しとかなきゃ♪。
バートン映画の名物「キャスト全員棒立ちシーン」を、細かい芝居で巧みにごまかす主演二人すごいわー(笑)。
クリストファー・ウォーケンも、ミシェル・ファイファーも。
俳優のワザってすごいね、普通の映画に見えるもん。

【怪人たちの哀しみに、寄り添い過ぎるバートン】
「マスクをつけると大胆になれるから、自己表現がラクになる」と語るバートン監督が、バットマンとペンギンとキャットウーマン、それぞれの"生い立ちから形成されたイビツな人格"を緻密に描く。
彼らの三者三様な内面がおそろしく魅力的。
三人の怪人が抱く憤りや悲しみに、どっぷり共感して肩入れできるバートンにしか、ぜったい撮れない作品だわね。
   
その一方、怪人たちの一貫してない生きザマとか、気分でころころ変わる性格を、まとめずにそのまま放ったらかしてあるので、一つの人格としてとらえるのは非常に困難。
それが人間としてリアルっちゃリアルだし、テキトーっちゃテキトーよね(^^;)
   
なにより。
ストーリーに整合性をもたせることに無関心だと公言してはばからないバートンだけれど、
この手のバトル映画で、登場キャラクタ三人に対立する理由がないのって致命的じゃない?(^^;)。
   
ペンギンは自分の出自や名前を突き止めて自尊心を取り戻したいだけで、悪いことをする動機がまったく見あたらない(クリスマス気分の町を破壊したり、子供を誘拐したり)。
キャットウーマン/セリーナが抱える問題も、なんか社会性まもる窮屈さと自分のバカさと上司への憎悪と孤独がごっちゃになってヒステリー起こしてるだけだから、バットマン関係ないよね。
バットマンも、ペンギンを疑って付け狙う理由がないまま追いかけるから.....え?イジメ?って思える。
   
なんか無理やりイガミ合せられる怪人三人が、とても滑稽に感じます。
   
名作との呼び声高い映画だけど、いま見るとバランスはかなり悪い作品だと思う。
それでも観客を魅了してやまない、ペンギンの悲しみと映像美術の美しさ、そしてテーマ音楽の錆びない黒光り。