キューブリックという人の映画に
何点かつけること自体がおかしいのかもしれない。
娯楽とかそういう文脈じゃない。
はっきりいって娯楽として全く面白くないが、映画としてとても面白い。
書いていて自分でもよくわからないが、この言葉がぴったり。
黒色状態3分と始まってからセリフを発するまでかかった時間26分。画面だけで物語る凄さよ。
道具の発明と骨を叩く猿。
そしてその骨の形がそのまんま宇宙船になる演出。痺れる。
(骨も宇宙船も人間の道具という意味では同義)
仲間が吹っ飛ばされるシーンで、何度もHALの目がカットバックされるところも好き。なんといっても宇宙空間での美しく青きドナウ。宇宙船がランディングする瞬間での無音。あーSFの原典なり。
秀逸な和訳職人が当時いたのだろう。これもまたすごい醍醐味。
「元へ戻して故障するのを待ちましょう。
仮眠して入船させる感動的な演出。ハルも木から落ちる。」
・残った疑問
▶︎娘さんが猿を欲しがったこと
▶︎サイケな演出目的は人類の歴史の追体験だったのだろうか?
▶︎最後に出てくる部屋の意味
▶︎HAL9000は乗っ取られたのか?
⇨町山智浩さんの解説を聴きました。
最後のサイケデリックなシーンは
人類創生の追体験ではなく、
超新星爆発から恒星誕生、惑星誕生、生命の誕生の追体験だったようで、最初の猿のシーンが本当であれば、部屋のシーンとの間に挟まれる予定だったとか。
当初であれば、猿たちを教育する宇宙人のシーンもあったらしいが、当時の技術で表現することが難しく、長方形大の板と印象的な現代クラシックで神の荘厳さを表現した。
その神(エイリアン)に招待されたのがあの部屋だったという。
そして、部屋に入るシーンの最初でエイリアンの笑い声が入っているんだそうだ。
部屋は主人公が想像しうる最高に高級なホテルが用意された。
(遠路はるばるから来た地球人に対してのもてなしの意味だったらしい)
宇宙人それ自体は、肉体を脱し、電脳上(重力波のエネルギー体とされている)
見れば見るほどに緻密な考証と撮影がされており、1968年にあって、SFの金字塔だろう。
最初3.0とつけたが、いやいや無粋かもしれないが、満点評価である。
神が死んだことは明確だが、神を作ることができる。
それはなにか?
肉体を脱した人間である。
精神だけの状態。
ホモデウス。テイヤール・ド・シャルダン
『現象としての人間』
ラストシーンのスターチャイルド=ニーチェの超人理論に基づく。『ツァラトゥストラはかく語りき』
ラクダ▶︎ライオン▶︎赤ちゃん