イチロヲ

無謀な瞬間のイチロヲのレビュー・感想・評価

無謀な瞬間(1949年製作の映画)
3.5
娘を庇うため殺人事件の当事者に成り代わった夫人が、闇組織の執拗なストーキングを受けてしまう。家庭を支える主婦の孤軍奮闘ぶりを描いている、サスペンス・ドラマ。

主人公ファミリーは、長女、長男、義父、女中という家族構成。夫が出張中のため、夫人は富裕層の家計を任されている状態にある。自動車のリペアを趣味にしている、職人気質の長男が抜群のキャラクター像をもっているが、物語の本筋には関わってこない。

クライム要素は、17歳の長女に色目を使ってくる財産目当ての中年男が、偶発的な転落死を遂げるところから始まる。主人公は娘を護るために完全犯罪を企むのだが、被害者の借金取りが手掛かりを手中にしたものだから、神経がヒリついた状態に陥れられる。

後半部では、夫人による「Let it go!(現実を受け入れて突き進むしかない!)」が全力疾走。借金取りの青年が絆されていく過程があっさり気味だが、「自分の力で打開しなければ!家庭を護らなければ!」という気持ちが、映像内から迸ってくる。
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