fuming

オーディションのfumingのレビュー・感想・評価

オーディション(2000年製作の映画)
3.2
とにかく気持ち悪い。
作品全体にじめりとした湿気感が漂っていて終始ぞわりとする。もはや何気ない日常シーンでも変に怖い。所謂スプラッターものは一種の快感を得られる効果があるが、本作にそれは無い。徐々に万力で精神を締められるような、蝕む恐ろしさである。
内容は、再婚相手を探す男が妻になり得るに相応しい相手をオーディションで募集し、ある一人の女との関係に陥ってしまうというもの。もうこのあらすじだけで如何にもなB級小説っぽくて気持ち悪さがかさ増しされる。
とはいえ、本作は非常に演出やカメラワークが巧く一瞬の油断やスキも与えないような緊迫感は見事である。また後半の畳み掛けるような展開も観客に内容の解釈より衝撃的なインパクトをぶつけてくれること間違いない。終始漂う湿っぽい空気の中にも緩急があり、正にジャパニーズホラーの真髄を魅せてくれる映画である。
この作品は鑑賞後、かなり疲れる。内容解釈にも映像表現にも。また観る人によっては、おそらく最も、そして1番苦手な部類の恐怖を提供してくれるだろう。本作の内容が決して現実味の無い他人事では無さそう、といのもより一層怖さに拍車をかけている。
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