Kientopp552

ラスト、コーションのKientopp552のレビュー・感想・評価

ラスト、コーション(2007年製作の映画)
2.0
「この世界の果てから最遠の海原まで
私は探す、私を分かってくれる一人の男(ひと)を...」

と、何回か熱い肉体関係を結んで、男の膚の温もりを忘れられなくなっていたヒロインは、1920、30年代以来モダンで、「東洋の巴里」とも「魔都」とも呼ばれた上海租界地にある、ある日本料亭の座敷で、一人座る、その男の前で歌い始めた。

 歌は、『天涯歌女』といい、上の歌詞に続けて、遠く離れた男を想いながら、辛い思いをしながらも愛を貫くことを謳い、次のように歌い終える:

「私は、糸のよう、貴男は、針のよう。
私の最愛の人よ、私達は、この糸と針のようで、
何ものも私達を引き裂くことはできないのよ。」

 このヒロイン(中国人女優タン・ウェイ)は、蒋介石の重慶国民政府の特務機関の意向を受けたスパイであり、一方の男(香港人俳優トニー・レオン)は、汪兆銘(中国では汪精衛の名が一般的)が率いる、親日・傀儡政権の南京国民政府の下、上海租界地に本部を置く、特務工作部の長である。この意外な取り合わせがなぜなのか、その経緯と顛末を語るのが本作のストーリーである。
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