穂苅太郎

ラスト、コーションの穂苅太郎のレビュー・感想・評価

ラスト、コーション(2007年製作の映画)
3.9
地味で静かで、おまけに前半とか革命ごっこをやる若者が青臭くて馬鹿らしくて若干引きつつも、後半はかなりスリリングに畳み掛けてくる。
何と言ってもタン・ウェイの存在感が圧倒的で。

この人も目で芝居をするのだが、本当の本心は全くわからない。焦点も微妙にずれていて、どこを見ているかの視線なんだ。これが天才的。ミステリアスで底の無い色気を醸しているものだから、まあそんじょそこらの男は確実に落とされてしまう。この点を持って「別れる決心」のキャスティングにつながるのはある意味必然的だったと言える。だってこの人しかできないよあの目は。

意図的に誘惑する表情と本当に惹かれている表情が絶妙で、二重三重に奥深い心理を表現できてしまう。これこそ本当のファムファタルだろう。

ということで「別れる決心」をもう一度見てみようと思う。そしたらまた本作を見てという無限ループに引きずり込まれそうな恐ろしさすらあるが。
穂苅太郎

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