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レッド・ドラゴンのYYamadaのレビュー・感想・評価

レッド・ドラゴン(2002年製作の映画)
3.8
【その男、ハンニバル・レクター】③

〈見処〉
①原点回帰
・トマス・ハリスの小説『レッド・ドラゴン』を原作とする、ハンニバル・シリーズ第3作。
・監督は『ラッシュアワー』シリーズや『天使のくれた時間』のブレット・ラトナー。ブロックバスター作品『Xメン ファイナル・ディシジョン』を手掛ける直前の新鋭監督にアンソニー・ホプキンズを演出させるとは、前作以上にぶっ飛んだ抜擢であるが、成功しているような気がする。
・物語は『羊たちの沈黙』の前日譚となる
1980年ボルチモア。精神科医ハンニバル・レクター博士の逮捕の経緯が明かされる。
・また、 収監後にハンニバルに捜査協力を求める元FBI捜査官ウィル・グレアム(エドワード・ノートン)との心理戦は『羊たちの沈黙』と同様に、非常に緊張感の高い作品で、まさに原点回帰作となっている。
・また、ハンニバルにとってのグレアム元捜査官は「他者を心理的に操作し、罪を犯させる」ハンニバルの特殊能力の攻撃対象となっており、前作までのクラリスと180度異なる関係性がハンニバルの歪な性格を現している。

②ハンニバルは端役
・タイトル『レッドドラゴン』は、ウィリアム・ブレイクによる、黙示録を描いた水彩画『大いなる赤き竜と日をまとう女(英語版)』に魅せられた、多重人格者が「赤き竜」と自分と同一視し、猟奇殺人を重ねる様を現している。
・自身の障害や、幼年期のトラウマに悩まむ殺人鬼タラハイドを演じるのは、レイフ・ファインズ。鋼の肉体美、複雑な人物描写を演じることは『シンドラーズのリスト』『ハリー・ポッター』と同様に勇気のいる決断だったのでは?
・本作はハンニバル・レクターシリーズの第1作とされているが、主人公はグレアム捜査官、殺人鬼はダラハイドであり、原作でのハンニバルは端役にすぎない。

③リメイク作の比較
・本作は、1986年に『刑事グラハム/凍りついた欲望』として公開され『羊たちの沈黙』の大ヒット後に『レッド・ドラゴン/レクター博士の沈黙』と微妙な改題でビデオ化再発された作品のリメイクである。
・リメイク前作品は、『特捜刑事マイアミヴァイス』マイケル・マンが監督を務め、なかなかレビュー評価も悪くない作品のようであるが、サブスクでは鑑賞出来ず、比較検証出来ませんでした。
(どなたかご評価ください!)
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