MayumiI

地の群れのMayumiIのレビュー・感想・評価

地の群れ(1970年製作の映画)
4.0
部落の血をひく宇南は、朝鮮人の少女を妊娠させ、炭鉱を出ていった。大人になり医師となった宇南(鈴木瑞穂)は、佐世保で診療所を開いていたが、ある日、部落から「暴行されたので証明書を書いてほしい」と少女がやって来る。

監督は「海と毒薬」「深い河」の故熊井啓監督。
1970年の作品だけど、今はこういう作品は作らない(作れない)よね。

娘に原爆症の症状が出ても、原爆にあったことを頑なに否定する母親、自分が部落の血をひいていて
子供を作る自信が持てないことを妻に言い出せない宇南…。

原爆、部落、朝鮮人、共産党…。
いくつもの差別が絡まりあって、差別されるものが、また、別の者を差別する。そして「負の連鎖」が加速する。

道徳的に「差別は良くない」というのは簡単で、特に今は「ポリコレ」「ダイバシティ」が大流行。
真剣に社会的課題に取り組んでいる人は別として、大多数の人はこの映画を見て何を思うのかな。

なかなかの「鬱映画」だったけど
見る機会に恵まれて良かったと思う。
MayumiI

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