青二歳

地の群れの青二歳のネタバレレビュー・内容・結末

地の群れ(1970年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

もうネズミが鶏を食い散らかすオープニングで心くじける。重層する差別の力学。差別は少数者対多数者ではないのだ。同和出身者と被爆者がお互いに差別し合う佐世保の物語。登場人物の過去や社会背景の中に、朝鮮人・クリスチャン・日本共産党まで絡んでくる。山村工作隊員って何だソレこわい…と諸々…これがDVD化OKなら他の未ソフト化のあれやこれやもDVD化容易いだろうよと全力のツッコミを入れてしまう。本気でDVDにならんだろうと諦めていた。
民藝に加え、日活退社組のえるふプロダクションなので日活の役者たちを呼び集め、地味ながらも実力派を揃えた作品。信夫青年は麦人の若い頃。医師の鈴木瑞穂の父(この人なんていう俳優さん?!)、ケロイドまみれの末期の演技が素晴らしい。演技がかっていないドキュメンタリーのようなトーンで本当に恐怖した。そしてハイライトはやはり宇野重吉と北林谷栄。彼らの台詞も絶句だが、なによりその演技に絶句。

タグの海塔新田はこの劇中で被爆者が住む架空の集落の名前です。劇中では被爆者の部落といいますが「変な風な部落とは思っていないですよ」という光子の台詞。この頃すでに部落という言葉が集落を指す一般名詞ではなくなって、同和を指す名詞に変化しているのだろうか。(東北の親族は町村単位を日常的に部落といいます…)
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