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レインマンのHKのレビュー・感想・評価

レインマン(1988年製作の映画)
4.0
『イシュタール』(87)の大失敗で盟友マイク・ニコルズから「中年スターふたりが画面に並ぶなんて絶対やっちゃダメ!」と助言を受けたホフマンは、当初あまり年齢差のない兄弟という設定だったのを変更(ランディとデニスのクエイド兄弟主演の低予算映画になるはずだった)、若手トップのクルーズを起用する運びとなる。クルーズはホフマン同様に役作りに熱心で、合わせて脚本はチャーリー(クルーズ)の成長物語に焦点が合わさってゆき、監督はブレストからスピルバーグ、からポラック、からレヴィンソンへと移ったことで難産だったと言われるが、当時の資料など読むと一番物語の核心を分かっているのはやはりレヴィンソンなのだった。よかったね。レヴィンソンは脚本を削りに削り、自閉症ゆえ成長しない兄との対比を得意のユーモアを交えつつ際立たせ、気が付けば大スターの競演作というより当初の構想だった低予算ロード・ムーヴィーに限りなく近付けた印象。しかしクルーズがオスカーの候補にならなかったのは解せん。
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