私が役者ならダスティン・ホフマンみたいな超絶上手い役者とタイマン張る映画に出るのは躊躇してしまうと思う。
でも上手い役者に共演者が釣られて引きずり上げられるマジックがあるのも真実。
これはギルバート・グレイヴのディカプリオとジョニデも同じようだったんじゃないかな。
レインマンは役者ふたりの演技はもちろん作品全体としてとても良く出来ている。
脚本が下手なら無理矢理感が出てしまうストーリーなのに自然に話が進んで行く。
レイモンドの驚異の記憶力ゆえに飛行機も高速道路もムリだとなり仕方なく一般道で地道に旅をする件は笑えるし自然とロードムービーへと導いて行く。
重い内容なのに暗くなり過ぎないのはラスベガスでのボロ儲けの様ないかにもアメリカンで陽気なシーンなどがあるからでそこの設定に無理がないのも上手い。
ベガスのホテルで兄弟で踊る場面なんか最高のラブシーン wだと思う。
母を介護している自分としてはチャーリーのイラつく気持ちも凄く理解出来る。
初めこそレイモンドを金蔓としてしか見ていなかったチャーリーに段々と芽生える兄への愛。
最初は弱者であるレイモンドの保護者としての愛だったのだが、レイモンドがずっとチャーリーのことを愛して護りたかったのだと知った時に立場が入れ替わる。
レイモンドがチャーリーの頭をポンポンと撫でるあの仕草は弟を守る保護者としての愛そのものだ。
(このシーンで泣かない人は鬼かもしれない w)
結局どうであれ物理的にレイモンドは人の助けがなければ生きて行けないことには変わりない。けれどあの一件からふたりは本当の絆で結ばれたのだ。
チャーリーにあちこち連れ回されてレイモンドは不安に感じるのと同時にきっと旅するのがとても楽しかったに違いない。
それもチャーリーとふたりだったからこそ。
チャーリーと一緒に病院に住みたいと言うレイモンドの願いは当然叶わなかった。
でもレイモンドはチャーリーが約束した面会日を秒まで数えて毎日待ち焦がれているんだろうな。
観終えたあと胸がギュウっと苦しくなる素晴らしく美しい映画です。
あとレイモンドがチャーリーにオデコをコツンとするシーンで泣かない人も鬼です w