CANACO

レインマンのCANACOのネタバレレビュー・内容・結末

レインマン(1988年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

1986年公開。その後『クイズ・ショウ』(1994)や『スリーパーズ』(1996)を撮るバリー・レヴィンソン監督作品。アカデミー作品賞受賞。昔避けていた、感動作といわれる作品をちゃんと見るシリーズ。

バリー・モローの原作を基に脚本化。脚本の制作には作者自身も関与した。

障害を抱える一方で、ある分野において秀でた才能を発揮するサヴァン症候群をもつ青年をダスティン・ホフマンが演じ、その弟をトム・クルーズが演じている。

高級車ディーラーの事業が危機に瀕しているなか、父の訃報を受けたチャーリー。
遺産目当てに故郷・シンシナティに帰ったチャーリーは、自分に残された遺産は1949年製のビュイック ロードマスターコンバーチブルと、バラの木のみであること、それ以外の300万ドルの遺産は、匿名の受託者に渡されることを知る。チャーリーはその車が原因で家から飛び出し、父と絶縁状態になっていた。
やがてその受託者が、存在する知らなかったサヴァン症候群の兄であることを知る。チャーリーは、兄のレイモンドを施設から連れ出し、チャーリーが住むロサンゼルスへと向かう。そこから始まる兄弟間の交流とそれを取り巻く人々の物語。

当時で1ドル168円だとすると、300万ドルは5億400万円くらい。

お涙頂戴の感動ものというイメージを勝手に持っていて長年見てこなかった作品。実際に見てみたら、思っていた展開とは違い、流れは静かで、トーンはソフト。上品だった。ヴァレリア・ゴリノ演じるチャーリーの恋人が、二人を取り持つよい役割を担っている。

チャーリーはただの善人ではないが、悪人でもない。家族の愛を渇望し、父から愛されなかった悔しさを抱える彼の傷を、6日間の交流によりレイモンドが癒していく。その悔しさは認知の歪みだったとチャーリーは気付き、家族の絆の柔らかい感触を得る。ずっと失っていたものを取り戻す。

レインマン=レイモンドだったのかと今更。レインマンからのメインマン(親友)、終盤で額を合わせる二人のシーンは純度が高く、なるほど、名シーンだった。レインマンのメインマンにチャーリーがなれてよかったと、本当に思う。
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