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サン・ソレイユのnagashingのレビュー・感想・評価

サン・ソレイユ(1982年製作の映画)
5.0
とても咀嚼しきれない。思索の軌跡をそのまま再現したかのような編集に一本筋を通していく構成力とストーリーテリングが圧巻。真珠湾攻撃の暗号は猫の名前と結びつけられ、階級闘争に読み替えられたモグラ叩きは、空港闘争やギニアの武力闘争と呼応しながら宗教儀式としてのモグラ打ちに回収される。ハイパーテキスト化したナレーションによる連想ゲーム。電線と鉄道のネットワークが張り巡らされ、広告や展示や象徴の記号が氾濫する情報空間=ゾーンとしての80's東京を、電車で居眠りする日本人の集合的な夢=幻想として描き出す卓見にも恐れ入ったし、それを『ストーカー』や『めまい』に接続しちゃう発想にも大いに共感。幻の女を探求するノワール的な枠組みを歴史の再発見へと援用する謎のスリップストリーム性は『レベル5』とも通底。そして、あれが『GITS』なら、これが『P2』であることは、モニターに対するビンビンな感度によって裏打ちされている。
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