大道幸之丞

八つ墓村の大道幸之丞のネタバレレビュー・内容・結末

八つ墓村(1977年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

非常によく練られたシナリオ。これは何より原作の良さだろう

・戦国時代に虐殺された落ち武者達の怨念・たたり
・因習深い僻村固有の閉塞感と風習
・大地主の遺産を巡っての諍い
・地下に広がる鍾乳洞
・過去に実際にあった岡山の「連続30人殺し事件(津山事件)」を引用

これらを巧みに融合させた背景が凄まじい。ドラマの入りもいい、東京で飛行機誘導の仕事をしているごく平凡な(と言いながら男前だが)青年寺田辰弥(萩原健一)に新聞の「尋ね人」欄で探し人が現れ、しかし対面の場面でその相手は謎の死を遂げる。

その縁で葬儀に参列するために、辰弥の大伯母から依頼を受けた森美也子が辰弥を村へ案内する。

しかしそこにたどり着いた辰弥は自身が田治見家ののっぴきならない遺産相続争いに巻き込まれていることを識る。そして彼が村に現れてから殺人事件が勃発する。

親族の人間関係も複雑だが、萩原健一と共演する当時の美人女優群の魅力が物語を飽きさせず引っ張る事に成功している。今回の金田一耕助は渥美清であるが、これも悪くない。

鍾乳洞を案内中の萩原健一と小川眞由美の唐突な濡れ場には驚かされるが、終盤に金田一が一気呵成に真犯人を解き明かす場面はやはりメインと言える。

「辰弥が来たから殺人事件が起こった、次は我々が殺される」と群集心理で蜂起する村人らは実に本来の日本人らしい。現在の陰謀論に走りがちなネット民となんらかわるところがないなあと感じた。

「日本固有のストーリー」を紡ぎ合わせた傑作といえる。