mare

川の流れに草は青々のmareのレビュー・感想・評価

川の流れに草は青々(1982年製作の映画)
4.0
ホウ・シャオシェンの覚醒はここから始まったように思える。牧歌的な風景に子どもたちが戯れるシーンだけで田舎町に対しての郷愁がこれでもかと掻き立てられるし、大人に向かうにつれて触れ合うことが少なくなっていく自然への愛が捧げられている。コメディは初期作らしく若干の要素として残っているものの、商業的な匂いは一切拭い去られた新鮮な空気感がたまらなく気持ちいい。もうここまで来るとただただ子どもを映しているだけで良い。冬冬に通じる台湾ニューシネマの萌芽の前触れを目の当たりにする。先生の入り乱れた恋愛模様、子どもの突発的な一言からの喧嘩、そしてその再生と成長。それらの生活を支える川、魚、守られていくことになる生活に根差した共生関係。こういう仄々とした予感を持続させるドラマの一つ一つが理想的な形で結実する。
mare

mare