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ピアニストのtakakyonのレビュー・感想・評価

ピアニスト(2001年製作の映画)
3.5
厳格な母と暮らすウィーン音楽教授のエリカが青年ワルターからのアプローチによって自らの歪んだ性を抑えられなくなる話。日常からのポルノショップ、清潔なトイレでの情事、文字が敷き詰められた手紙など美しさ歪みが常に入れ替わるので脳が混乱した。ラストのナイフのシーン好きだった。

行動は極端だが合間合間にエリカの行動原理となる伏線があって物語の進行が上手いと感じた。シューベルトに関して負けてはいけないという母親の言葉が、生徒への攻撃につながったり、母の抑圧がポルノと歪んだ性癖に繋がるのも納得の毒親だった。

ワルターの何でもできてしまう気質は若さゆえの何でもコントロールできると勘違いする性格を作っていると思った。彼はエリカを愛しているという一方自分が気持ちよくなるセックスを優先させているのも特徴的だと感じたし最後の暴力に繋がるのも納得だった。

演奏会でワルターに話した狂気の中の正常が崩壊するというのが映画のテーマだと感じた。正常パートの厳格優秀なピアノ教授シーンが減り、性癖の解放から暴力や独善的なセックスのシーン埋め尽くされラストも崩壊に向かう演出はテーマに沿っていて緻密な映画作りをする監督だと感じた。
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