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ピアニストのmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

ピアニスト(2001年製作の映画)
3.8
エルフリーデ・イェリネクの小説「Die Klavierspielerin(ピアニスト)」をミヒャエル・ハネケ監督が映画化。
性的に未成熟な中年の女性ピアニストが、年下の青年との間で交わす恋愛模様を生々しく赤裸々に描く。
原題:(仏) La Pianiste、(英 )The Piano Teacher (2001)

ウィーン国立音楽院でピアノ教師として働くアラフォーの女性(イザベル・ユペール)は、異常とも言える厳しい干渉と束縛をする母親(アニー・ジラルド)に対し、愛憎入り混じった複雑な感情を抱き、突き放せずにいる。
男性と交際したことがなく性的に未成熟で、欲求不満を晴らすかのように倒錯した性的嗜好(マゾヒズム、覗き…)を密かに持つようになっていた。
若い学生(ブノワ・マジメル)がアプローチしてきても、警戒し厳しい態度を崩さななかったが、化粧室で熱烈にキスをされたのをきっかけに、自分の性的嗜好を満たそうとする。
倒錯した一方的な要求に男は当惑し幻滅するが、不本意ながら彼女の"希望通り"(?)母親に対しある行動をとる。

翌日、コンサート会場で…。

エンドロールは無音。

「あなたを見ないのは、その首筋にキスをしたくなるからだ」

「男を興奮させておいて、止めさせるなんて。ルールは二人で考えるものだ」

「私が指示するわ。手紙で、それか直接、または電話で」

「秘密にしておこう。僕は男だからいいけど、君は女だから。
愛に傷ついても死ぬことはない」

主役のイザベル・ユペールが熱演、迫真の演技を見せる。
ラストのイザベル・ユペールの顔、この一瞬の表情に凝縮された心情はどのようなものだろう。
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