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シンドラーのリストのhymasuminのレビュー・感想・評価

シンドラーのリスト(1993年製作の映画)
4.3
かつてロードショーで観て心が苦しくなった映画だから、もう観ることはないかなと思っていたけど、現在ウクライナで起こっている戦争で、シンドラーのホーロー工場があったポーランドのクラクフにたくさんのウクライナ人が避難していることから、今、もう一度観ようと思った。

ポーランドは、かつてアウシュビッツをはじめとする強制収容所で600万余にもなるユダヤ人の大量虐殺が行われ、そして今は200万以上のウクライナからの避難民を受け入れている。戦争に何度も巻き込まれている。

シンドラーはナチの党員でありながら、ほぼ全財産を投じて不当に弾圧されているユダヤ人を救済した。
初めはユダヤ人に対して差別意識もあったが、無差別に理由なく狙い定めてナチの娯楽のように銃殺されていくユダヤ人を見て救うことを始める。

ドイツ軍が降伏し車で逃亡を始めるシンドラーは雇用していたユダヤ人に見送られ、これで10人救えたはず、これで2人いや1人でも命を救えたはずだと心から嗚咽する場面、ユダヤ人たちと抱き合ってユダヤ人たちも涙する場面は、戦争というよりナチの残虐さを際立たせた。独裁者による恐怖政治と洗脳の恐ろしさは、今東欧で戦争を始めた国の指導者と被る。 

シンドラーの工場があったクラクフには今ウクライナから避難民が押し寄せている。第二次世界大戦で多くのユダヤ人を救った場所は、今ウクライナ人を救っていることに不思議な時間のつながりを感じて切なくなった。

あえてモノクロ映画に作られたけれど、スピルバーグはやっぱり光と影の使い方が上手いと思う。途中に唯一色がついた少女のセピアがかった赤色はものすごくインパクトがあった。
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