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シンドラーのリストのkayupanのレビュー・感想・評価

シンドラーのリスト(1993年製作の映画)
4.0
ナチス占領下のポーランドで、実業家シンドラーがユダヤ人を労働力として使い、莫大な資金を手に入れた。その後、ナチスがユダヤ人を虐殺し始める中、シンドラーが身を削りユダヤ人労働者を救い出す。
過去に中学校頃の授業で、ユダヤ人が毒ガス室に収容されるシーンの一部を見た記憶がある。その時は単に人種差別と虐殺の残酷さを印象づけるだけのものだったが、今になって改めて見て気づくのは、ドイツ軍人が無思考に命令に従うことや、資本家の価値観の変化、ユダヤ人の中での考え方の差異など、様々な立場から人間の心情が複雑に描かれていて興味深かった。特に子どもの描写が強烈で、ナチス的に現時点で役に立つかどうかで判断するではなく、かつ現時点で救った大人だけで考えるのでもなく、「世界そのものを継続させる」ということの重要さを暗に示しているように感じ取れる。そこにおける世界とは、多様性や政治性、合理性、思想などですらない、それ以前の最も単純な意味における「人間の世界」である。
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