トリスタン

シンドラーのリストのトリスタンのレビュー・感想・評価

シンドラーのリスト(1993年製作の映画)
-
フランクルの『夜と霧』を読み終えてから鑑賞し直した。
白黒の映像はあらゆる人間から価値や個性を剥奪して、役に立つか立たないかという尺度から人間をモノや交換可能な部品のように扱う世界を表していると思う。
これに対し、赤い服の少女は1人の人間を群衆の一部でなく、かけがえのない価値を持った存在として観るよう意識をさせる効果があった。
ユダヤ人という特定の人種で人間をカテゴライズし、600万人にも及ぶ無辜の民を大量虐殺するという蛮行(太平洋戦争の日本の戦死者300万人)をわずか70年前に人間が映画でなく現実にやったのだということに戦慄を覚える。

現在の我々の社会は人間を人間として扱っているか。自分自身が無意識にナチ的な、悪魔的なものに堕していないか。絶えず自問自答しなければならない。
トリスタン

トリスタン